2012/12/05

日々の風景 -短歌教室(添削)(2012.12.5)

先週の金曜日11月30日(金)、浦和ロイヤルパインズホテルB1Fで「よみうりカルチャースクール」の第16回目の短歌教室があった。


(1) 言い逃れ来て一人飲む居酒屋に忘れかねたる国なまりきく

・ 前半部分と後半部分とでそれぞれ単独の歌になる。
 もうちょっと内容を整理・単純化して2つの歌にしたほうがいいのではないか。
・ 「言い逃れきて」は不要。 もし入れるとすれば、何を言い逃れてきたのか、唄いこんだほうがよ  
 い。 「言い逃れきて居酒屋で飲む」だけで一つの物語になる。
・ 「忘れかねたる」という表現は感心しない。
 忘れようとしてもどうしても忘れられない、という表現にすべき
・ 「忘れかけたる」はどうですか → → →  もっと悪い
・ 「苦き思い出あまたあるゆえ忘れがたきふるさとのなれど忘れかねざる」といううたもある。

→ → → →  居酒屋で一人飲みつつなつかしきわがふるさとのの国なまりり聴く 

→ → → →  酒飲まぬかと誘われたれど断りて居酒屋のすみに一人来ており




(2) その母とその父若く手をつなぐ子はハミングしつつスキップしており
・ 何の歌ををハミングしているのか、今の季節なら、ジングルベルとか
・ この内容では、風景が見えない。 季節感も出ない

→ → → → ジングルベルをハミングしつつ幼子が若き父母と手をつなぎゆく

  

(3) 永眠という語のもてる厳しさを欠礼通知書きつつ思う

・ 今回の、3首のうちではこれがベスト
・ ただ、「厳しさ」という表現がちょっとしっくりこない

→ → → → 年賀状の欠礼はがき書きながら一人残されし寂しさ思う

→ → → → 賀状欠礼はがき書きつつ「永眠」なることばの重みつくずくと思う

→ → → → 「永眠」という語で死にしことを言う言葉の重さふとしも思う


今回もいろいろ言われて大幅に修正させられてしまった。

総評(受講者全員への)として、下記のお話があった。
1.歌おうとする対象が、歌になるのか、難しいのかよく検討してから仕事に取り掛かること
2.「書の道の果てなきことを思いつつ」という歌があったが、この「果てなきこと」という表現は、
 「通俗的」言いかえれば観念的であって中身がない。たとえば、道端の小さな花を見たときに、き
 れいだ、と感じたような一寸した事を詠みこむように努力、工夫をすること。
3.とにかく、観念的な内容にならないようにすること。
 ただし、観念的であっても「哲学的」に深める努力をすること。 常にそのことを深く考え思って
 いれば、自然そのようになっていくと思う。
4.感じた事をよく感じ、よく考え、考えた事を深めていく事を常に考え、心に留めておくこと
5.感じたこと(感覚)をよく考え(思考し)、考えたことを深めていく作業が「哲学」である。
 哲学的なことを感覚に戻して詠んでみる、という姿勢を持つこと。
6.姿勢として、「思考を深める」、「人生を深く考える」ことを継続していくこと。 
 俳句ではこういうことが出来ない。

今回は、作歌上の心構え、姿勢についての貴重なお話を頂いた。


2012.12.5
  Yukikaze


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