短歌・俳句の風景 -その112
今回は、佐世保市のI.K.さんの歌です。
あすといふ日のあるを信じて 』
山と湖と日没 |
選者の岡野弘彦さんが、「よい歌だ。今沈む夕日が明日また昇って欲しいという不安と祈りを古代人は深く抱いたに違いない。それを当然と思うのは現代人の思い上がりに過ぎない」と評している。私もまったく同感であり、縄文人だけでなくその後近世にいたるまで、人々は毎日毎日、明日もまた太陽がちゃんと昇って欲しいという祈るような気持ちで日没を見送ったに違いない。否、日没に対してだけではなく、あらゆる現象に対して「祈るような気持ち」をもち、息をひそめるような気持ちで生きていたに違いない。現代人には、あらゆることに対してその「息をひそめて祈るような気持ち」が失われているような気がする。その敬虔な気持ちを少しでも取り戻し、維持していきたいと思います。
Yukikaze
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